パイロット スクーナー
アメリカ号 は、スクーナー Schooner と呼ばれる 船の形 です。これは、港に到着した大型船に、水先案内人 パイロット を送り届けるヨットです。すなわち、アメリカ号は、パイロット スクーナー として、快速で高性能な小型船でした。
これの特長は、風上への切り上がり性能に優れた縦帆と二本マストです。まず、最後部のマストは、最も高いか、全て同じ高さです。また、外洋向きのディープキール型、浅瀬の多い湾内で用いられるセンターボード型の二つのタイプがあります。
アメリカ号 の先進性
1851年当時、中・小型の スクーナー が米国の東海岸で多く用いられ、発達しました。すなわち、大西洋岸の森林地帯の優れた木材を使った快速船が作られていたのです。ニューヨーク・ヨットクラブ NYYCは、この様な時代にアメリカ号を作りました。
設計者は、革新的な ジョージ スティアーズ George Steers でした。彼は、常識的な設計を覆しナイフの様に鋭くとがった船首(バウ)とそこから弓の様に船尾(アフト)に広がる設計を取り入れました。全長は、101ft 9inchです。
常識的な船の船形とは、丸みを帯びた船首と鋭く尖った船尾を持った艇でした。つまり、アメリカ号の設計は奇抜なものとして受け止められました。しかし、レースで連戦連勝を重ね、優秀さが認められ、現在の船型の先駆となりました。
特に、ニューヨークの海域は、港外から港に入る地形が複雑です。 船の性能、速度、操船が求められ、アメリカ号は、評判のヨットでした。
ジョージ スティアーズ の設計
ジョージ スティアーズ が、アメリカ号を手掛けたのは、31歳でした。特に、彼は、快速艇設計の天才と言われていました。なぜなら、10代からボートの設計を始め、多くの スクーナー を設計していたからです。
アメリカ号 の完成まで僅か一年という短期間の作業でした。また、図面は既に完成していたスクーナー 、マリーテイラーのデザインを発展させました。名前は、アメリカ号 。イーストリバー河畔の造船所、ウィリアム・H・ブラウンで建造されました。
ジョージ スティアーズ は、アメリカ号 の趣旨に賛同し、同型船と比べ速度が遅ければ、金を受け取らないことにしました。建造費は、当時のお金で2万ドルです。1850年の冬から建造が始まり、1851年5月3月に進水しました。
6月18日にNYYCのオーナーに引き渡されました。そして、6月21日の朝、大西洋に出発しました。1日に248カイリ、平均10ノット強の速度でフランスのルアーブルまで、20日間で横断しました。設計通り、快速のスクーナーとなりました。
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